2017年6月のはじめ、仁淀川町池川で国道439号線から国道494号線に入り、椿山に向かう。
途中、椿山集落を通過するが、この集落の住民は1人。ほとんどが廃屋となった集落を目の当たりにして、辺地集落の社会的課題が脳裏をよぎる。同時に、まったく人が住まなくなるようなことにでもなれば椿山登山口へのアクセスもさらに困難となるのではと思う。
椿山集落から先は人家がないためか道路の舗装はなくなり管理も行き届いているとはいいがたい。そのため普通車で行くには注意深い運転が必要。登山口はこの舗装されていない林道(約2q)を抜けて片側1車線の広い林道に出てから200メートルほど東に行ったところにある。
登山口から椿山三角点までは標高差650m。はじめから急登が続くので歩く速度や水、行動食の摂取に留意する必要がある。登山者が少ないようで当日は私たちのみ。登山道もあまり人の通った形跡が見られない。
椿山頂上の手前にはさながら映画「ジェラシックパーク」の場面を想起させるような背丈の高いササ原がある。ただこちらは急傾斜でササに捉まりながら前に進むことになるが。
頂上からは北方向に石鎚山を眺めることができる。そこから少し東に入ると北から東、南方向を一望できる場所がある。
山で味わう感動をできるだけ残そうと高画質のカメラを持っていくが、安全な場所で、また山行に支障がないようにとなるとシャッターチャンスも自ずから限られる。そのため少ない機会を逃すまいとますますカメラに収めることに傾注してしまい、山の魅力そのものを味わうことが疎かになりがちになる。高知の初夏の強い日ざしに照らされ、椿山の東側で若竹色に輝くみごとなササ原を眺めていると、そもそも空気、香りや音といった体感を伴って視野に入ってくる風景の感動はその場限りのもので、その瞬間を享受し記憶に留める方が大切なのではとも思う。
今回はさらに西へ、尾根伝いに草原山を目ざす。こちらは登山道はないといっていいくらいで、位置を確認しながら注意深く進む。椿山から草原山まで2/3程度の距離にある頂で13時になったので、そこで昼食を取り途中の景観を満喫しながら引き返すことになる。
下山して帰る途中、椿山神社に立ち寄る。往時を偲ばせる立派な神社である。
*青太線=自動車ルート、赤太線=トレッキングルート。赤太線上の をクリックすると写真・映像が出てきます。 *この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものである。(承認番号 平29情複、第286号) |