五台山のミニ八八ヵ所巡りは、五台山にある様々な施設・場所をところ構わず巡っていく里山歩きとでもいえるかのように、墓地を通過し、神社の参道を横切り、竹林寺の境内に入り、また、牧野植物園にも梨畑にも入っていく。
高知勤労者山岳会では、このところ年初めに八八ヵ所の石仏を掃除し、よだれかけを新しものにしているとのこと。これを聞いてあの「かさこじぞう」の話がふと思い浮かんだが、この「ミニ八八ヵ所巡り」は標高差約130mとはいえアップダウンが多く、ルートも複雑。しかも9q余りとかなりの距離を歩くことになり、1日で巡ろうとすると多少のしんどさを感じながらの巡礼ともなる。
2018年の年始め、朝8時30分、五台山の東端にある「へんろ道 五台山ミニ八八ヵ所」の案内板に沿って山に入って行く。一番から二三番までは順にすすみ、それ以降は「ミニ八八ヵ所径路図」にあるように四五番、四〇番、四四番へと石仏の配置を見て合理的なルートで巡ることにする。
竹林寺の境内に入り三一番札所をはじめいくつかの札所の石仏を訪れたあと、植物園の結網山で南側風景を楽しみながら昼食。そこにある二五番から二九番札所を訪れてから植物園内を北に抜け、梨園やみかん園のある五台山の北東部ををぐるっとまわって午後3時半に入り口の案内板へと帰ってくる。
石仏の表情は実に多様で、中には古くなって鼻などが欠けてきているものもある。これはこれで歴史の趣を感じる。一方で、六七番札所の石仏のように御仏の尊顔が梨畑のパイプで遮断されて拝みにくくなっているのを見ると、信仰の対象としての扱いが軽んぜられているようで少し寂しい思いもする。
『ふるさと発見−五台山の史跡・文化財』(高知市教育委員会、1998年3月、154ページ)によれば、五台山のミニ八十八ヵ所は「文政年間(1820年代)に始まったといわれて」いて、「正式の八十八ヵ所の各札所の本尊を、生い茂った草むらや木立の陰、巌の上に祭り、いつでも巡拝できるように工夫されている」とのこと。
なお、高知県内のミニ八十八ヵ所は、「滝山ミニ八十八ヵ所(土佐市)」(『新・分県登山ガイド38 高知県の山』(山と渓谷社)の「清滝山」(100ページ)を参照のこと。)や「野根ミニ八十八ヵ所(東洋町)」の他、県内各地域に点在している。
*赤太線上の丸で囲まれた札所の番号や、 をクリックすると写真が出てきます。 *この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものである。(承認番号 平29情複、第286号) |
1番: 霊山寺 | 2番: 極楽寺 | 3番: 金泉寺 | 4番: 大日寺 |
5番: 地蔵寺 | 6番: 安楽寺 | 7番: 十楽寺 | 8番: 熊谷寺 |
9番: 法輪寺 | 10番: 切幡寺 | 11番: 藤井寺 | 12番: 焼山寺 |
13番: 大日寺 | 14番: 常楽寺 | 15番: 国分寺 | 16番: 観音寺 |
17番: 井戸寺 | 18番: 恩山寺 | 19番: 立江寺 | 20番: 鶴林寺 |
21番: 太龍寺 | 22番: 平等寺 | 23番: 薬王寺 | 24番: 最御ア寺 |
25番: 津照時 | 26番: 金剛頂時 | 27番: 神峯寺 | 28番: 大日寺 |
29番: 国分寺 | 番30: 善楽寺 | 31番: 竹林寺 | 32番: 禅師峰寺 |
33番: 雪蹊寺 | 34番: 種間寺 | 35番: 清瀧寺 | 36番: 青龍寺 |
37番: 岩本寺 | 38番: 金剛福寺 | 39番: 延光寺 | 40番: 観自在寺 |
41番: 龍光寺 | 42番: 仏木寺 | 43番: 明石寺 | 44番: 大宝寺 |
45番: 岩屋寺 | 46番: 浄瑠璃寺 | 47番: 八坂寺 | 48番: 西林寺 |
49番: 浄土寺 | 50番: 繁多寺 | 51番: 石手寺 | 52番: 太山寺 |
53番: 円明寺 | 54番: 延命寺 | 55番: 南光坊 | 56番: 泰山寺 |
57番: 栄福寺 | 58番: 仙遊寺 | 59番: 国分寺 | 60番: 横峰寺 |
61番: 香園寺 | 62番: 宝寿寺 | 63番: 吉祥寺 | 64番: 前神寺 |
65番: 三角寺 | 66番: 雲辺寺 | 67番: 大興寺 | 68番: 神恵寺 |
69番: 観音寺 | 70番: 本山寺 | 71番: 弥谷寺 | 72番: 曼陀羅寺 |
73番: 出釈迦寺 | 74番: 甲山寺 | 75番: 善通寺 | 76番: 金倉寺 |
77番: 道隆寺 | 78番: 郷照寺 | 79番: 高照院 | 80番: 国分寺 |
81番: 白峯寺 | 82番: 根香寺 | 83番: 一宮寺 | 84番: 屋島寺 |
85番: 八栗寺 | 86番: 志度寺 | 87番: 長尾寺 | 88番: 大窪寺 |