2016-02

農山村の仏像(北川村)

2月15日。高知の東部、中岡慎太郎館を訪れる。目的は「北川村の文化財-神社仏閣を中心に-」の企画展が開催されていて北川村の仏像文化を一目見ておくこと。
2階の展示室に足を踏み入れるとそこには北川村で祈りの対象として長い歴史を刻んできた仏像が展示されていた。数は多くはないが地域の信仰心の厚さ・歴史を想像でき期待を裏切らないものであった。
過疎の農山村にあるこうした仏像は、全国から集めた富を背景につくられてきた奈良や京都の仏像と比べると洗練された芸術性や様式美に劣るとして下位に評価される傾向にある。国宝にはじまり、重要文化財、県指定、市町村指定の文化財と格付けされ、評価されることに、地方もまた依拠してこと足れりとしているかにみえる。
たしかに北川村などの地方の仏像はそのような富に支えられたものではない。これらの仏像は、つくられた当時の仏像の様式を取り入れつつも、わずかの金を出し合い、また自分たちでつくったものなので、都の洗練された様式美から見ると荒削りで、素朴で劣っているかも知れない。だが、地域の人びとにとっては、先祖伝来の祈りの対象であり、地域のまとまりと歴史文化を形づくってきた歴史的に価値ある仏像であり、はげた塗さえもその歴史を感じさせる美の構成要素である。
しかしながら、地域の歴史の記憶遺産として、また地域の仏教文化、その芸術的側面からも貴重なこれらの仏像は、一方で、過疎化や生活様式の変化に伴う価値観の多様化によって地域における存在感が薄れてきている。また他方では、その歴史的価値ゆえに紊乱した現代社会で盗難の危険に晒されている。そして、既存の文化財保護制度下、低い評価の前で手をこまねいていたのでは失われたり盗難に遭う可能性が大きくなってきている。この現況にどのように対応していくのか、地方の文化的継承にとって重要な課題である。
DSC_0398video_033ここでは木像仏ではないがその魅力の一端を垣間見るべく磨崖仏をひとつ紹介しておこう。
学芸員の門脇智也さんの説明の中で話題に上ったこの磨崖仏は星神社の鳥居を抜けて入った境内の傍らにある。片側が断崖の小路を下りてすぐの所で、素人には神社に磨崖仏があるというのも不思議だが、見るとひかえめで魅力的である。星神社そのものが人里から離れた山の上にあり、信心深いこの地域の人びとの生活史に思いを馳せることができるとともに、聞こえてくるのは木の葉のささやきと小鳥の鳴き声のみの厳かな雰囲気を感じさせるところである。(2016年2月16日-MI

2016-02-16 | Posted in Lifestyle を見つめてNo Comments » 

 

松井豊美さん、「手づくり紙芝居コンクール」で作品賞を受賞

手づくり紙芝居作家の松井豊美さんの作品が「手づくり紙芝居コンクール」で作品賞を受賞。その作品が展示されていると聞いていたので、1月31日、伊野町の紙の博物館を訪れる。展示場にはすべての受賞作品が並べられていて、松井さんの作品を見るとタイトルは「妹兄島物語」。ストーリーを読み、見終わるといつものように心地よい余韻と映像が残り、いい作品に仕上がっているように感じられた。
DSC_0035 すべての受賞作品を見て回り、松井さんと展示作品についてし話していると、おもむろにバッグからこの紙芝居を出してくる。プチ紙芝居とでも表現される小さな木枠に入っていたので、最初、額縁に飾ったものと間違えたが、少人数向けに作られた紙芝居と説明される。喫茶店ででもテーブル越しに気軽に上演できそうなもので、紙芝居文化を日常生活の一コマへと浸透させていくにはなかなかいいものではないかと思う。
紙芝居の話題が広がる中、松井さんの作品には身近な自然や山歩きに関する作品があって、関心にも高いものがあるので、かねてから身近な山に親しむライフスタイルを推奨したいと考えていたリアル高知とも協力して山歩きを楽しみ、それぞれのテーマを深めていこうということになる。
そして、リアル高知としては主にホームページに掲載する準備をすることにし、同席していた岡村安子さんが中心となって企画を進めることに。岡村さんは山が大好きで長く山に親しんできた方、海外ではキリマンジャロなどにも登頂した経験もある方なので、どのような山歩きになるか、期待したい。(2016年2月3日-MI

2016-02-03 | Posted in Lifestyle を見つめてNo Comments »