2016-01

ニホンカワウソ終焉の地? 高知のいま

 ニホンカワウソの最後の生息域は高知県西南部から愛媛県南東部といわれてきた。ニホンカワウソが最後に目撃されたのが高知県須崎市で1979年。近年ではすでに絶滅したものと見なされるようになっていたが、2012年、環境省も「絶滅種」に指定するに至っている。
  ところで、主に人間によって生息域を侵食され、このように絶滅に至った現在、わたしたちがニホンカワウソの実物に最も身近に接することのできるものとしては剥製標本があげられる。ニホンカワウソの剥製標本は、今なお残っているカワウソの記憶とともに人間と動物の関わりを考える際の貴重な手段となったと言えよう。しかしながら、こうした事態を踏まえた高知県の今後に向けた取り組みとえば、課題も多いように思われる。
 高知県とともに最後の生息域といわれた愛媛県の状況を見ると、愛媛県総合科学博物館には、まず戦後最初に捕獲されたニホンカワウソと最後に捕獲されたものが常設展示されている。館内には戦後捕獲された剥製30体が、他、骨格標本やミイラ等も保管されている。また、とべ動物園では前身の道後動物園で飼われていたニホンカワウソの剥製3体が常設展示されており、骨格標本や冷凍された内蔵も保管されている。このように、剥製標本の劣化を防ぐとともに、学術的な研究にも対応できるよう適切に管理されうる施設に保管され、広く公開する体制も取られてきている。
 一方、ニホンカワウソが最後に目撃された高知県はというと、多々良のいち動物園園長さんによれば、剥製14体と毛皮1枚が保管されているとのこと。これらは、のいち動物園に集められた4体の剥製標本を除くと自治体等で分散保管されている。ニホンカワウソが絶滅したと考えられる段階に至り、その剥製標本のもつ教育的・学術的価値は大きく変わったものとなり、将来に向けたその価値は計り知れないものになったともいえる。そのような視点から見るかぎり、現況が充分な保管・管理体制の下にあるとは考えにくい。高知においては、特に、今後の社会的なニーズに永く対応できるよう保管・公開・活用体制の整備が望まれる。
 こうしたこともあって、多々良のいち動物園園長さんにニホンカワウソの記事をリアル高知に掲載していただくことになりました。また、高知県内にあるニホンカワウソの標本剥製の写真も掲載予定。(2016年1月26日-MI

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〔のいち動物園にて-2016年1月22日

多々良園長さんが知らせてくれたので気づいたのがこのニホンカワウソ像。
n-1カワウソコーナーの傍らで終焉の地、高知の西南域をじっとみつめていて、説明書には:「わたしたちはニホンカワウソたちに これまでなにができ なにができなかったのでしょうか そして これからどうすればよいのでしょうか」

 

 

 

園内ではつぎの3種類のカワウソが迎えてくれました。

コツメカワウソ                  ツメナシカワウソ

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ユーラシアカワウソ

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ニホンカワウソはこのユーラシアカワウソの亜種といわれています。須崎市の新荘川ではほんの40年前までこうした風景が見られたのでは…。

2016-01-25 | Posted in Lifestyle を見つめてNo Comments »