Archive for 2015

手づくり紙芝居の創りだす世界、その魅力

2015年12月22日、いの町の紙の博物館で開催されている「松井豊美 手づくり紙芝居の歩み展 ~紙芝居がつむいだ輪~」に足を運ぶ。当日は最終日。小学校の児童たちも興味深く観ていたが、絵とストーリーをゆっくり拝見し、作者の作品にかける意気込みをうかがうことができました。
松井さんは、看護師としての仕事の傍ら、地元四万十町を中心に四国域を視野に入れながら自然や文化、民話作品から、地域の生活を取り上げてほっこりとした気持ちにさせる作品、平和に思いを馳せる作品まで、手づくりの紙芝居をコツコツと産み出してきています。
「表現すべき対象の外観から引き出さねばならない本質的な真実というものが存在するわけである。問題となるのはその真実のみである」(アンリ・マチス『画家のノート』)といった指摘を想い起こさせるかのように、紙芝居を観、聞く人が事柄の本質、テーマの意図を感性的にも理解でき共感できるよう工夫した絵作り、ストーリーづくりに取り組まれており、今後の作品や活動が期待されます。
img308写真の紙芝居のタイトルは「青い目の人形エミリー」。
1927年、アメリカから日米親善の大使として日本の子供たちに贈られた青い目の人形がありましたが、第2次大戦中に多くが処分されました。しかし、1975年に高知の佐喜浜小学校でそれが見つかりました(エミリー・キャサリン)。この紙芝居は、この歴史をテーマに平和の大切さを考えます。
近いうちに、リアル高知でいくつかの作品が紹介される予定。(2015年12月23日-MI)

2015-12-23 | Posted in Lifestyle を見つめて, その他No Comments » 

 

これからの高知の林業を考える(農業問題研究会)

2015年12月5日、高知市内で開かれた農業問題研究会に出席。この研究会は、わたしが高知に赴任した1980年代には高知の農業に関心のある農家の人から、国や自治体職員、組合、歴代の学長を含む大学教員まで幅広い分野の人びとからなっていて、高知の農業を深く理解するには欠かせないものだった。その後、永らく休眠していたが、昨年ひょっこり再開の提案があって小規模ながら2ヶ月に1回程度開催されてきている。
今回の報告者は、中村市森林組合組合長の宮本昌博さん。テーマは『文化としての林業へ』。20151205s
高知の林業の第一線から得られる現実感覚は総じて新鮮で刺激的だったが、ここではわたしたちの身近な生活と係わる論点を一部紹介したい。
結論部の「林業立て直しの方向」のところを端的に言うと、今一度地域に目を向けて良質のヒノキの生産技術と消費者の評価能力を蓄積すること、それを地域内での連携や共同をつくり強めていくことが重要、とのこと。
言いかえると、住宅の場合、地域の木材や職人・技術者を顧みないプレカット住宅ではなく、土佐の歴史・風土のなかで作られてきた地元の材を使った住宅、それを技術的に支えてきた左官職人や大工を大切にしながら地域の建築文化を継承発展させていくことこそが、地域の産業(林業)や生活文化の向上につながる、と考える。
そして、構造材に本物の地元ヒノキを使って作った久礼中学校を例に挙げつつ、そのためには、行政には「原材料は役場が出す」と言って地元のものを使うというような対応が、そして消費者にはその建物のすばらしさを評価できる評価能力を涵養することが必要で、そうしたことが地元の林業とその文化の発展を支える、と主張する。
仕事が少なくなり左官職人や大工がいなくなってしまうということは、かれらの生活の糧がなくなることだけでなく地域の建築物を支えてきた伝統的技術が途絶えることでもある。そうしたことを避けるのが行政の役割であることに気がつく必要がある。そして、地元の四万十ヒノキの生産から消費まで、全プロセスに携わる地元の人が協力・連携して建築文化を育てていくことが、林業の再生につながる、と指摘する。
わたしたちが人生で一度は直面する住宅に関していうならば、氏の報告は、消費者が「安価な住宅」を求めて孤立的に考えるのではなく、地域の歴史文化を大切に地域全体で協力して質の高い住宅を実現していく方向性を示したものとも言えよう。(2015年12月7日-MI)

2015-12-07 | Posted in Lifestyle を見つめてNo Comments » 

 

地域をともに育てていきたい人のためのツール

地域にはかならず写真やビデオを趣味にしている人がいます。音楽が好きでバンド演奏を楽しんでいる人もいます。一方、広く世界に目を向けると、多くのミュージシャンが協力し、音楽と映像を使って多くの人びとを感動と共感の輪でつなぎながらすばらしい平和運動、教育支援を行っています。いわゆる”Playing For Change”の運動です。
私たちの地域にも作品の担い手がいて、音楽や映像の編集ソフトも安価で身近な存在となってきた現在、地域のひとびとのそれぞれの想いを共同の作品に仕上げるというこうした取り組みが、地域を見つめなおし、協力して地域づくりを進めていく手段となり文化力の向上にもつながるのではないかと考え、その検証の意味も込めて2つの素人作品を制作しました。
これらの作品制作には特別の予算はなく、基本的にボランティアでの協力によって作られました。

〔作品1〕津野町、大好きです
高知県立大学学生が天狗高原をマウンテンバイクでダウンヒルする映像を背景に「想いでのグリーングラス」演奏を聴きながら津野町の自然、産業と文化を紹介。(3m16s)
《演奏》
・高野七福神バンド(津野町)daisukidesu
・エールを送るのはオーケストラ・アンサンブル「フォルツァ」メンバー(大阪)

 

 

〔作品2〕私たちのふるさと、津野町
津野町立葉山小学校、中央小学校児童による「カントリーロード」の合唱を基調にして津野町のふるさと風景と次代を担う子供たちを見ながら、地域を見つめなおす。(4m36s)
《合唱・演奏》hurusato
・津野町立葉山小学校、中央小学校児童
・高野七福神バンド(津野町)
・エールを送るのは高知県立大学マンドリンクラブメンバー

 

これらは津野町に贈呈した作品ですが、他の地域にも参考になればとユーチューブにアップロードしておきました。もともとユーチューブでの閲覧も考慮(英語も使用)して編集しましたので、少し画質が落ちますがご覧下さい。(2015年12月2日-MI

2015-12-02 | Posted in Lifestyle を見つめてNo Comments » 

 

明郷園(佐川町)の紅茶・ウーロン茶試飲会

2015年11月21日(土)、明郷園の紅茶・ウーロン茶の試飲会に参加。佐川の旧浜口家住宅(現、観光協会事務所)で開催されたこの会には十数名が参加していて、地元のいろんなスイーツも加わり、さながら茶話会のような雰囲気で楽しいひとときでした。20151121-s
明郷園という名称は、戦後佐川で事業を行っていた明郷紅茶生産組合の名前を継承したものとのことで、佐川での紅茶再興への意欲をうかがわせます。
ところで、通常は、一度途絶えた紅茶生産を新たに始めるに際には当然ゼロからのスタートということになります。しかし、幸いにも仁淀川流域は県下一の茶の産地で茶業試験場があり紅茶生産のための知識・技術の支援が得られるとともに、かつての紅茶生産の名残りか茶畑には一部に紅茶に適した茶の品種も残っていて生産を再開する環境としてはさほど悪くなかったのではと考えられます。
とはいえ厳しい消費者の嗜好に応えて事業を成り立たせるには、経営的視点に加え、茶畑での茶の栽培から消費にいたるまでの全プロセスを最良のものにする生産・消費(享受)能力が不可欠となります。この事業の成否を決めるともいえるこうした能力をつけていくのは大変ですが、それを支える多くの人がいることも試飲会で感じました。
取り組んで7年目になる今年の紅茶は、素人目にも味や香りが魅力的で、以前よりも洗練されてきているように思われ、その努力の程を想像させるものでした。
これらの紅茶は佐川の店舗だけでなく高知市内のホテルでの販売も予定されていて、いよいよ市場への本格的な参入が始まります。(2015年11月23日-MI

2015-11-24 | Posted in Lifestyle を見つめてNo Comments »