土佐紬

 「江戸時代の末期から明治にかけて全国で地織りが盛んに行われた.これは綿織物が多く,その土地,その土地で色合いとか,風合いとか,柄などに特徴をもたせ,総称して地織と呼ばれたものである.地織は,農家の婦女子の手によって生産されたものが多く,農村を地盤にして普及していった.それらのうち良質のものは広く愛用されて名声をあげていった.
  四国地方でも,いわゆるその土地の特産の織物として,愛媛県の「伊予絣」・徳島県の「阿波しじら」・香川県の「保多織」などはその名を知られている.では,高知県はどうだろうか。最近の民芸ブームで「土佐紬」の名が店頭に見られることもあるが,他県の織物ほど名前が知られていない.」 (下記、「歴史的考察」の「はじめに」より)

 土佐紬は素朴な風合いと肌触りのしっかりした綿紬織物、独特の色調でやさしい縞柄が多いが、そのような伝統的な土佐紬を店頭で見かけることはほとんどなくなった。




《参考資料》

  岡﨑芳子・大西順子・松浦千代子 「土佐の織物に関する研究(第1報) - 歴史的考察 -
                                (高知女子大学紀要 自然科学編 第24巻, 1976年3月)

  岡﨑芳子・大西順子・松浦千代子 「土佐の織物に関する研究(第2報) - 物理的性能について -
                                (高知女子大学紀要 自然科学編 第26巻, 1978年3月)


★★★★★★★★★★ 土佐紬 ★★★★★★★★★★



(所蔵:川口順子)